脚は痛むが放っておいてもこれ以上の回復は、走りながら治すのと大差ないと判断して、水曜から走り始めた。
バンドゥーシュのおばさんには、
1ヶ月ぶりじゃない!走るのが嫌になったのかと思った。
そう言われた。
あんなに沢山の人が訪れる銭湯で、人をよく見てる。
銭湯の番台の仕事としては素晴らしい。
帰ってからはやはり痛み出した。
ロキソニン飲んで湿布した。
土曜はスポーツクラブ、日曜は土手を走る。
やはり夜は痛みが出て、腰掛けたベッドから立ち上がるのも辛い。
日曜は選挙に行った。
子供は政党名を間違えて書いたらしい。
せめて当日に投票所に行くまでの道のりで、
与党と野党、民主主義、社会主義、さわりだけでも話しておきたかったが、バイトに遅れると言って、自転車で行ってしまった。
でも投票に行こうと思ってくれたことは嬉しかった。
18歳のワガママさ。
自分の周りのせいぜい20人位が、この世の全てであり世界はそこにある。
29年前の自分はどうだったか。
目の前に広がる社会が何なのか分からずに不安の中にいた。
何者にもなれず、何も目指すことができず、唯一週末と夜が夢を見させてくれた。
目まぐるしく心は移ろい、その時の感情が全てだと信じている。
豪雨や灼熱が繰り返し続く。
回帰線。
その中にいるものに、どんな言葉も届かず、周りの言葉など聴こえない。
だから全てをかけてでも、伝えなくてはならないことがある。
疲れたとか、やりたいことがないとか、何もしたくないとか、辞めたいとか。
言ってほしくない。