車という乗り物

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アメリカのゼネラルモーターズが6月1日に連邦破産法11章の適用を受けた。
巨大自動車会社は破産した。

かつてここの車を持つことは成功者の証であり、アメ車は豊かさの象徴だった。
しかし時代は移り変わり、大排気量の大型車よりも、いまや低燃費小型車に需要は変わった。
GMはその変化について行けず、金融不況と世界不況にとどめを刺さされた形になった。
4月末のクライスラーを含め、アメリカビッグ3の2社が破産するなど考えてもみなかった。
日本でいうトヨタニッサンが潰れたようなものだ。

言われてみれば最近は車にさして興味を持たなくなった。
しかしそれは忙しいとか、お金が無いとかと言うことだけで片付けるには違和感を感じる。

若い頃は車が好きで、ドライブが好きだった。
車の所有には夢があった。
歳をとった今は、何かが違う。

いまは、若者の車離れが進んでいるという。
車は金が掛かりすぎる。

2000cc国産車の年間維持費は、180万で購入したとして車両価格年間約60万
燃料費  月8000円として96000円
自動車税 39500円
駐車場代 月6000円で年間72000円
車検   140000円で1年で70000円
保険が年間35000円
タイヤやカーステレオ、洗車やメンテナンス費用を含まなくても、年間合計維持費は912560円。
月76000円。
ローンを払い終えても、純粋に維持費だけで30万はかかる。
これなら毎週末タクシー使った方が安上がりだ。
車を手放したら、生活は楽になるだろうな。
考えてみるかな。


と、朝電車の中で書いた。
しかし今もう一度思い直してみた。

昔も今も車に金は掛かった。

しかし車を買って、納車されてドライバーズシートに腰を下ろしてハンドルを握ると、目の前には夢が広がっていた。それはどこまでも続いていたような気がする。

車とともに思い出は心に刻まれ、楽しかったこと、悔しかったことなどたくさんの記憶が刻まれた。

 歌いながら仲間と朝まで走り続けたこと。
 
 悲しみの涙でフロントガラスが滲み、ワイパーをかけたこと。
 
 車の中で毛布に包まり朝を待ったこと。
 
 大切な人とすごしたこと。

走行距離が2万キロ、3万キロ、と増えるたびに距離の分だけ思い出が増えていった。

今ではもう、車に乗ってもあの頃のような夢を見ることができなくなった。
それは車のせいではない。

車は移動の手段になり、手段だから合理的なものを選ぶようになった。
そして移動の手段は車なくともよくなった。
歳をとるということは、車でいうと、廃車が近づいていると言うことなのか。
スクラップになる日が近づいているのか。
たしかに身体はあちこちガタがきている。
心も磨り減った。

若い人の車離れが進んでいると言うが、どうか無理してでも好きな車に乗って欲しい。
車はもう一人の自分となり、ともに走り、時には傷ついて、楽しい思い出もできるだろう。

だからこそ若い人こそ車に乗って欲しいと思った。

何をのせるのかは自分次第。