42.194km

昨年のマラソンで左足親指の足のつめを傷めて、つめの下に血豆ができた。新しい爪が生えてきて、4分の3ほど生えたところで、古い爪がポロリと剥がれた。下に爪があるからあまり痛まなかった。
「爪下血腫」(そうかけっしゅ)だ。
なぜこうなったかはよく覚えている。

右足親指の足の爪が同じことになった。
思い起こせば、荒川市民で25キロ過ぎたあたりから、足の爪が痛み出した。
あそこで止めていればこんなことにはならなかった。
しかし今年はなんとしても自己ベストを出したかった。

だからもう、足が壊れてもかまわないと思って痛みをこらえながらゴールを目指した。

38キロ過ぎてからは、あまりの痛みに涙がでた。

40キロ過ぎてからは、泣き叫びながら走っていた。

もう我慢も限界を超えていた。かなりみっともない状況だった。
帽子かぶってまわりも見えなかったからかもしれないが、そんなことを考える余裕など無かった。
最後の2.195キロがあんなに長かったことはいままで無かった。
もう二度と走るまいと思った。
ゴールして5分したら、もう足を地面につけなかった。

大会終了後、真っ赤になり、痛くて歩けなくなった。
しばらくしたら痛みは3,4日で引いてきたが、爪は真っ黒になった。爪の下の皮膚が内出血を起こして血液が固まったからだろう。
そのあと、ずっと爪は黒いままで、2ヶ月が経った。

もう痛みはなかったが、いつか剥がれてしまうだろうなと思っていた。

そうしたら先週、ひょんなことで足の親指を硬いものに強打して、電流が走るような激烈な痛みが襲った。

嫌な予感がした。

明らかに爪が痛む。
恐る恐る見ると、赤くなって何か出ていた。
水で洗うと、黒くなっていたはずの爪は、茶色い水とともにきれいになった。
爪とその下の皮膚に隙間ができたため、固まった血が洗い流されたのだ。

なんと爪はきれいになった。

しかしちっとも喜べる状況ではなかった。
茶色い水が爪の付け根からあふれてくる。
真っ赤な血も流れている。

爪が生えている根元から折れた。(ほぼ折れた)

翌日爪は真っ白になった。完全に死んだんだろう。

爪が根元からほぼ水平に折れているのだ。
左端5ミリ程度残して、折れているからぶらぶらしている。

周りの組織は腫れて膿が出ていた。悪臭がした。
これはまずいと思って、オキシドールで消毒して膿も洗い流した。

仕方ないから、爪は元通りに戻してバンドエイドを貼って、固定した。
寝ているときなどに引っ掛けて剥がさない為だ。

今週は走るのを断念した。
いろいろ調べると、医者で剥がしてもらったほうが良いとか。自然に任せたほうが良いとか。
いろいろである。

そもそもマラソンで爪を傷める原因は、靴が合わないか、走り方が悪いか。両方か。らしい。
やっかいなことに足の爪は生えるのが遅い。

剥がれた爪を少しずらして中を見てみるが、新しい爪が生えてくる気配は、まだない。

これは長引いてしまうだろう。

まいったな。

しばらくフットサルも、マラソンも休むしかない。

しかも本当に新しい爪は生えてくるのか不安だ。

あれほどもうやるものかと思っていたマラソンも、できないと思うと、走りたい。
なぜだか分からないが、どんなに辛くとも、また走りたい。
そう思ってしまう。

あのゴールの瞬間の一瞬の喜びのためだけ。
ぼくはその最後の1mを味わうだけのために42.194kmを、走っているのかもしれない。

そう思ってしまう。
そう思ってフルマラソン4回目。

そんな気持ち分かるでしょうか。

正しい靴の履き方
http://nice-run.com/dl/inshoes.pdf